以前、納品した箱に関してこんなクレームを受けたことがありました。 「ワンタッチ箱の底面のロックが掛からない」 過去に設計担当者から胴回りが正方形のワンタッチは設計が難しく、ロックが甘くなってしまうということを聞いたことがあったので、その説明をし一度現物を確認することになりました。 実際のクレーム品を見てみると、確かにロックが甘くひどいものだとスカスカで全くロックが掛からないものもありました。ロックが掛からないと箱が自立することができなく、自動充填での詰作業予定だったのでこれでは作業ができないと言われました。 急遽、設計担当やサックマシーンのオペレーターとクレーム品に関しての検証をしたのですが、正方形のワンタッチは難しいとはいえ初めてではなく従来通り設計していて、実際の貼作業時も特に問題が無かったとのことでした。 ただ一つ、従来の設計と違っている点がありました。紙の目方向です。 基本的にワンタッチ箱等は箱の側面の罫線に対して紙目が直角になるように設計しますが、今回の箱に関しては使用予定の紙の規格(サイズ、目方向)が一つしかなくこのセオリーに乗っ取って設計すると非常に取都合が悪くなってしまう寸法でした。 1枚の紙からいくつ箱が取れるかというのは箱の1個単価に直結する問題で、ロットにもよりますが多く取ればそれだけ紙の枚数を減らすことができるのでコストダウンにつながります。 実は今回のお客様はこういった箱の設計にも詳しい方で、事前に従来通りの紙目だと取都合が悪いということも認識されていて、非常に価格が厳しい為コスト重視、逆目で設計して欲しいという依頼を受けておりました。 試しに、紙目をセオリー通りにしてそのままの設計で貼ってみた所、見事この問題は解消されました。原因は逆目だと箱の底面の貼位置が安定せず、ずれた状態で貼られてしまいその結果ロックが掛からなくなってしまうというものでした。 取都合が悪くなる為箱自体の単価は上がってしまいましたが、その後の作業効率を考えるとそれも止むなしということでお客様にも納得して頂くことが出来ました。 お客様の為を思えばコスト面も重要ですが、良い品質のものを安定してお届けする為には何事も基本には忠実にしなければということを痛感できた一件でした。 営業部 SK
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